雨の運動会

'雨の運動会' 雨ふりの中をオレンジ色の体操着がワンボックスカーから降りてくる あわてて傘をたたんで「おはよう」を交わす ひとつの場所にいる複数ハウリングしていた室内がいつのまにか「みんな」へと成長していく 親の目に浮かぶものが光る子どもの成長…

グッドモーニング

'グッドモーニング' 季節がカーディガンを羽織った 布団からはみ出た爪先が平泳ぎで毛布を探しているとレム睡眠を鮮やかに引き上げる太陽が時計に腰かけながら顔をあらわす 都合よくツイートしているキャスター横目に教育番組にチャンネルするとローストされ…

愛の色

愛の色 子どもを高く持ち上げて未来行きのカートに乗せていく 幸せの場所へ連れていきたいと父親のシューズは泥にまみれて母親は安いブラウスに袖を通している 子どもの一瞬は大人の何十年もの意味をもつその意味にどこまで向き合えるだろうか 母親の愛はと…

とかさ

とかさ 今日は暑いとか涼しいとかさゲリラ豪雨の予想がどうとかさ今日は何時に帰ってくるとかさ晩ご飯のメニューがどうとかさ長男は今日も虫捕りだとかさ次男は最近よく話すとかさ三男の髪がふさふさだとかさ 消えるように進んでく毎日を追われながら未来に…

僕のすべて

僕のすべて これまでの苦しみが ひとつの解放に弾けた どれだけの過ちも ひとつの功績が救えるように テープをきったランナーは いつも光のベールを纏っている 限りない海を見渡す心で 果てしない空を見上げている 飲み終えた水筒から鳴った氷の儚さ うまく…

僕たちは試されている

いまがいつなのか ここがどこなのか 誰も知らない 知る術はない 絵本のはじめ 無表情の暖色ページを 息を飲みこみ見つめている 疾走の前に必要な距離がある プロローグは必ずついてくる いまはいつか あの頃になり 未来はいつか いまになる 夢なら幻想になっ…

美しいものを美しいと

他者を攻めることで自己を確認したい人がいる きっとそういったひとつひとつに気付かずに 大人になってしまったのだ 美しいものを美しいと思う 朝日を浴びて 夕陽に想い 夜を閉じる 人はだれでも許せない昨日を憶えている 心の中にセーブされてると思い込ん…

コントロール

紙芝居のクライマックスで 成敗される鬼たち 振り回している金棒は 弱さのサイズを表している 群衆が買い求めるのは 品種改良で頬を染めた果実 噛みしめて飲み込むあいだ 種が無いことに気付くことはない もうブラウン管はすっかり改造されていて モノクロ画…

僕のポケット

大切なものを半ズボンに込めて ポケットを気にしていたあの頃 なにを大切にしていたのか 割り切れる算数が好きだった いまは難しい問いかけの前で 動けなくなってしまった 僕はいま何年生なんだろう? いつも半袖でいたかった 靴飛ばしで空を測って 夢を描い…

渦巻の銀河

星は永久に配列されていて 宇宙の螺旋階段を上がっていきます たとえばそれは深海を泳ぐ 魚の群れたちを想像してみましょう 形状が繰り返すうちに 安定した姿を保てなくなり 巻き込みのジレンマが起こります かかったストレスを元の形状に戻すべく 渦を創り…

ライフ イズ ビューティフル

視力を失えば 聞こえるようになる 歩くなら 景色がよく見えて 静けさは 呼吸を感じさせる "ライフイズ ビューティフル" そこはコウモリがお似合いの12階の建物 廃墟ではない 子どもの時に肝試しをしたこともある 昭和の遺産のような集合住宅は いろはにほへ…

アドラーに学ぶ

夢は醒める前に楽しまなくてはならないそこに帰ることはできない 覚めた時は眩しいが光から逃げてはならない 僕は 僕の夜を守って僕は 僕の朝を迎えるんだ 想像に支配されてはならない道より先にハンドルをきれない 万物に優劣はない座標がみな違うのだ 科学…

サイレント映画の中で

人との関係は相対的だ 鏡の前で支度をしたら 心は誰かに映しだせ ここでの僕は 昼間は私になって 日が暮れて俺になる いろんな人に好かれたいと思うが 許せないやつを思い出してる 伝えたいことが伝わらない 聞きたい声が届かない 言葉は直感を鈍らせる 視力…

物語の真ん中で

互い違いのシューズで走る子は 気にならないほど楽しいらしい ヒーローになりきって 歩道の上から空を飛ぶ 絵本は心を解き放ち 同じところを何度も開く 気付くと 太陽が月に変わっていた毎日 昼には夜が必要なように 正義には過ちが必要だ 白夜であってはな…

Roots

Roots 通りすがりのやさしい風が髪を撫でて抜けていった 僕は少しだけ心地よくて誰かのための自分になれた バトンをふたつに分け合って次の人へ渡していく ペイ・フォワードの少年に近づいた気がしている 優しさはやがて膨らんで気球になって運んでくれる 遠…

昨日は 窓際の席で 校庭の中に見付けたよ 今日は 廊下で近づいて 会話のボリューム上げたんだ 放課後の靴箱で 明日もやっぱりすれ違いたい シューズの不在を横目で見たら 校門飛び出し追いかけた あの頃 毎日会えないと 恋のカロリー上がっていった あの夏 …

つまづきに肯けるその時まで

君へ 太陽は東から上がることを いまだにやめない 立ち上がる時はいつだって つまづいた後だ 僕はね 桟橋の見える景色の上に 数十年に1度の天体を待ったことがある きっとね 生まれ変わる前の世でも 僕は黒い月を見てみたくて やっぱり同じ景色にいたんだと…

愛のレシピ

洗いざらしの心なら 乾きたてのように吸い込み もぎたてのヒントで 搾りたての答えを見せる おぼえたてのやさしさ読んで 入れっぱなしの感情を洗う 最後に挽きたての勇気でかき混ぜれば ほかほかの愛が生まれる

国籍

あの人は挨拶を大切にしてあの人は人と距離をとりあの人は休日に力を入れてあの人は言葉に操られている 人と人との間で動くボールはリズムが狂うと心に響く響き続けて疲れてしまう 僕とあいつは国籍が異なる性格や態度で捉えないでいいのだ 国と国とですべて…

"味方するもの"

コンクリートのひび割れから咲いたひとつの花 種子のパラシュートがその隙間に降りたとき迷わずつま先を土の中に入れた 風はその時間だけ止まり発芽を応援したんだろう 朝露がひとしずく頭を撫でる「もう大丈夫だよ」そんな言葉を言われた気分 迷いがない直…

"愛の人"

愛の人 手のひらで守りたかった花があった嵐の中でそっと握りしめておだやかな風の吹く あの場所へ着いた その花が崖の上に咲いていたのか花屋に並んでいたのか詳しいことはわからない 手を開いてみたら潰れていた花滲んで染み付いてたピンク色 マジシャンみ…

"メダル"

"メダル" 掴まなければならない者掴んでみたい者 手にした人によって輝きを変えるメダル 地平線で分かれた空と海のようにどこまでも交わらない 空と海は同じクレヨンだけどまったく別の意味がある 景色の中に区別の中で重なり合っている 手にしたい幸せのよ…

"8月4日の午後の決断"

"8月4日の午後の決断" 僕は普通でありたいようで 特別でもありたい 思春期のあいつの影には引力があって 自転している少年たちを どうして近くに引き寄せたのか 混ざり合う想いをひとつにする それを型抜きにして 焼いたクッキーを食べてみたい 体は退行して…

"恐竜のバラード"

"恐竜のバラード" ポーズをとる間もなく ゴングがなった 拳を合わせる前に殴られた 面喰らったと言えば、その通りかな 僕はすぐにディフェンスの構えを取った が、相手の姿は消えていた トレーニングを積んで仕返すか 上手に忘れていくのがいいのか 解答例を…

"僕と僕"

"僕と僕" 僕は僕とケンカばかりしている 時々勝つこともあるが だいたいは打ち負かされている 勝ったときは大抵自分の力ではない 闘うしかなかったときにだけ誰かの後押しがあった 僕は僕を尊敬できるようになりたい 「がんばれ」ではなくて「がんばってるね…

"朝の太陽"

僕がにぎりしめたハンドルは もうしばらく離したことがない 乗客は大勢だ いろんな景色を見てきたし 竜が飛び出しそうな嵐も経験してきた これだけ大勢なのだから ハンドルではなく 舵と呼んだほうが正しいだろうか はじめはよかったんだ ボートにはペースが…

“傷み”

大人になってからの旅路は幼い頃に奪われたものをいつも取り返そうとしている あの人もこの人もどこかに埋めてしまった悔しさをいまはもう思い出せないでいる 「ごめんな」と言われたい 「ごめんな」ではゆるせない 大人時代の3年間の経験は二歳児が3分間で…

“寝顔”

"寝顔"朝の先っぽで目が醒めるいま僕は睡眠の波間にいる 雨の音に気付いてしまった部屋で聴く雨音は どんなBGMより心地がいい もう一度ベッドに倒れることもできたがカーテンを開けるほうを選んだ 街の寝顔を見渡してみるコントラストを失った家々黙りこくっ…

“ファッション”

“ファッション” どうやら言葉がダイエットを始めたんだ言葉のぜい肉がそぎ落とされて歩きやすくなってきた 青年の頃のベルトをどこにしまっただろうかあのチノパンをとっておけばよかったこの革靴くらいは許されるだろうか 時間は流行を連れてくる流行は眩し…

”6月の太陽”

”6月の太陽” 追い抜きたい時 見上げてはいけない 埃の中を駆けていくこと 好機を待たないこと そうすれば逆転は必ずある 偶数で整えたいことが 奇数のように割り切れない そんな余りを握りしめ 「これでどうだ」と胸を張った 6月の太陽になりたい