雨の運動会
'雨の運動会'
雨ふりの中をオレンジ色の体操着が
ワンボックスカーから降りてくる
あわてて傘をたたんで
「おはよう」を交わす
ひとつの場所にいる複数
ハウリングしていた室内が
いつのまにか「みんな」へと成長していく
親の目に浮かぶものが光る
子どもの成長は嬉しくて切ない
けど「ありがとう」と言えること
子ども達には「ぼく大きくなったらね」と
思い描く未来ある
大人が選んだ道を歩くことはない
彼らは彼らのオリジナルでなくてはならないのだ
帰り道のハンドルにぎって橋を渡ると
影絵のような山並みに奪われていた
夕陽に惚れやすい空を見て
人がそんな頬なら世界は優しいと気づく
人の道は帰り道
忘れたことを思い出すように
さすらいながら今日を行く