パイナップルの涙

パイナップルの涙


賑やかな南国の

行き交う町の路面店

手書きのマジックで

値札がつけられ並んでる


手にした人の舌に湧いてくる酸味

期待したような甘み

そんな果実になった

そんな果実になるしかなかった

 

熱されたアスファルトのそばで

排気ガスを吸い込みながら

陽射しを裸で受けてきた

焼けた肌で

空ひとつ見上げないで

 

それでも実をつけたんだ

みんなが喜ぶフルーツをつけた

つけるしかなかった

 

君は

与えることで疲れてしまって

いつも無表情でうつむいて

長く伸びた影を踏まれないように歩く人

 

お願いだから

少しは僕たちを裏切ってくれないか