僕のポケット

大切なものを半ズボンに込めて

ポケットを気にしていたあの頃

なにを大切にしていたのか

 

割り切れる算数が好きだった

いまは難しい問いかけの前で

動けなくなってしまった

 


僕はいま何年生なんだろう?

 


いつも半袖でいたかった

 


靴飛ばしで空を測って

夢を描いていた

 

あの時の涙が

いまを彩る絵の具になった

 

どんな空しさも

アイスクリームで消せたあの日

 

次の授業へ黒板をリセットするように

僕らはあの頃を消してきた

 

長袖とセーターと

防弾チョッキを重ね着にして

走れなくなった

 

金網ばりの公園で

額縁の中の自由と

窓枠から見えた開放に

等式のような答えを与えられた

 


たいていの問いかけは

解答をめくって写せばいい

そうみんなが教えてくれる

 

僕には

あの頃飛ばしたシューズが

空に浮かぶあいだに見ていた未来がある

 

「まだ子ども」と「もう大人」は

グラデーションでつながってるんだ

 

ネガに押し込まれた歴史を

持ち歩くほど大きくはないのさ

 

僕のポケットは