だいじょうぶ

子ども時代
共働きの家
兄が塾に通いだし
ひとりの夜が増えた
ジャムのような空の夕方
ニュース番組を
恐怖で消した
月曜日
20時が楽しみだった
いつでも笑いは
寂しさを剥がしていく
きんきらきんと
子どもを味方する
安心をありがとう
笑顔をありがとう
あのおかげで
これからも
だいじょうぶだ

役目

‪雨の日曜日

‪この雨が‬この国を‬

‪洗い流してくれる‬

‪シャワーだったら‬

‪‪子ども達と‬

‪旧友と‬‪父と‬

‪公園に行った‬

‪稀有の土曜日

‪‪これまで‬

‪気付けなかった‬こと

‪不要なことに

‪気が付いた3月

‪ウィルスはそう

なにかを

知らせる役目で

生まれてきた

そう思えば

正解のような

気がしてる

地球人として

ということさえも

ということさえも

いつからだろう 悲しめなくなった

涙はカッコわるいと

大人に教わったか 僕がそう思ったのか

それさえも それさえも

誤解がこわい そう怯えてたら

無言になっていた

晴れてるのに曇ってる自分に悔しむ

そうなにもかも そうなにもかも

空を描いてみたかった

ブルーの画用紙に白模様を置いてみる

うまく描けない なにかが違う

雲は影があるから泳げるのか

子どもと大人はグラデーション

いつからなんて決めなくていい

どこからなんて知らなくていい

成長って自分を否定することから

忘れていることに気付いていくこと

いつもそうさ やっぱりさ

休めばいいの?走ればいいの?

もう10倍も行きた未来の僕は

立ち尽くして動けないでいるよ

人格の仕上がった4歳の頃の僕

なにも知らなかったろうな

それが答えだということさえも

宇宙が知らない景色

宇宙が知らない景色

朝のライトを浴びながら

制服の中学生が今日へ向かっている

チャイムの音符が流れてきそうな川沿いで

舗装されたあの子の横顔は何を考えているのか

家族であっても 親友であっても

実のところ 人にはそれが分からない

世界は自分とそれ以外

あの少年はエキストラ

あれは僕が見たい景色らしい

自分の景色しか自分には見えない

僕らには空の青さが分かるけど

宇宙がそれを見ることができないように

だから自分に定めると

そう決めたら雑音が消えていった

信じることは歩くこと

答え合わせはいまじゃない

いつか未来の引っ越し先で

空の住人が

すべてを教えてくれるその時まで

あした

あした

いってきますを伝えてきた

天空の城の玄関があった

ここは扉の次に扉があって

たどり着かない はてしない物語

上から覗いてみたい迷宮

雑誌のスクラップな記憶は

いつも僕を僕でいさせない

誰かの僕と 僕の僕が

いつも重なり合うことはない

転んで起きて歩き出す

誰もがそんな時代を通過してきたのだが

すり傷を恐れて走ることをしない

できれば仲間たちと共に

グーニーズのように冒険していたい

涙が心を洗っていく日もあれば

笑顔で不安を塗ってみることもある

少なくとも車内にはルールがあり

景色と乗客が心の旅を彩っていく

生きていれば毎日続く今日

人の一生は数えきれない今日

あしたはいつまでも訪れない

ようやくこのことに気がついた

毎朝経験をダウンロードして起きる

分かれ道に出会うたびに

つながっていくパーフェクトワールド

僕を連れていくパラレルロード

運命が決めていくという迷信の風を抜け

最後の景色に向かう谷をいけ

そして

いまを強く生きろ

君の公園

君の公園

「君のことを守る」だなんて
そのうち枯れていくセリフ

「いつもそばにいるよ」だなんて
そのうち片付いていく飾り

転んで擦りむくのはいやだな
拭いてもらえなかった涙ほどくやしい

そんなふうに君が
君を失くしたのはいつからだろう

片付けもせず去ってしまった
砂場のように崩れやすい心で
美しい夕焼け空に気づかぬほどうつむいて

だから僕はこう伝えよう
「いっぱい君を思い出してる」

今日も明日もその次も
君を待ち続けている場所

僕は君の公園になりたい

パイナップルの涙

パイナップルの涙


賑やかな南国の

行き交う町の路面店

手書きのマジックで

値札がつけられ並んでる


手にした人の舌に湧いてくる酸味

期待したような甘み

そんな果実になった

そんな果実になるしかなかった

 

熱されたアスファルトのそばで

排気ガスを吸い込みながら

陽射しを裸で受けてきた

焼けた肌で

空ひとつ見上げないで

 

それでも実をつけたんだ

みんなが喜ぶフルーツをつけた

つけるしかなかった

 

君は

与えることで疲れてしまって

いつも無表情でうつむいて

長く伸びた影を踏まれないように歩く人

 

お願いだから

少しは僕たちを裏切ってくれないか