だいじょうぶ

子ども時代共働きの家兄が塾に通いだしひとりの夜が増えたジャムのような空の夕方ニュース番組を恐怖で消した月曜日20時が楽しみだったいつでも笑いは寂しさを剥がしていくきんきらきんと子どもを味方する安心をありがとう笑顔をありがとうあのおかげでこれ…

役目

‪雨の日曜日 ‪この雨が‬この国を‬ ‪洗い流してくれる‬ ‪シャワーだったら‬ ‪‪子ども達と‬ ‪旧友と‬‪父と‬ ‪公園に行った‬ ‪稀有の土曜日 ‪‪これまで‬ ‪気付けなかった‬こと ‪不要なことに ‪気が付いた3月 ‪ウィルスはそう なにかを 知らせる役目で 生まれて…

ということさえも

ということさえも いつからだろう 悲しめなくなった 涙はカッコわるいと 大人に教わったか 僕がそう思ったのか それさえも それさえも 誤解がこわい そう怯えてたら 無言になっていた 晴れてるのに曇ってる自分に悔しむ そうなにもかも そうなにもかも 空を…

宇宙が知らない景色

宇宙が知らない景色 朝のライトを浴びながら 制服の中学生が今日へ向かっている チャイムの音符が流れてきそうな川沿いで 舗装されたあの子の横顔は何を考えているのか 家族であっても 親友であっても 実のところ 人にはそれが分からない 世界は自分とそれ以…

あした

あした いってきますを伝えてきた 天空の城の玄関があった ここは扉の次に扉があって たどり着かない はてしない物語 上から覗いてみたい迷宮 雑誌のスクラップな記憶は いつも僕を僕でいさせない 誰かの僕と 僕の僕が いつも重なり合うことはない 転んで起…

君の公園

君の公園 「君のことを守る」だなんてそのうち枯れていくセリフ 「いつもそばにいるよ」だなんてそのうち片付いていく飾り 転んで擦りむくのはいやだな拭いてもらえなかった涙ほどくやしい そんなふうに君が君を失くしたのはいつからだろう 片付けもせず去っ…

パイナップルの涙

パイナップルの涙 賑やかな南国の 行き交う町の路面店 手書きのマジックで 値札がつけられ並んでる 手にした人の舌に湧いてくる酸味 期待したような甘み そんな果実になった そんな果実になるしかなかった 熱されたアスファルトのそばで 排気ガスを吸い込み…

Rain

Rain 村で降れば喜ばれ街で降れば嫌われる あの星を隠していたのは樹々たちを励ましていた夜 渇いた喉を潤す言葉で乾いた心に沁みる涙を伝えた 運河を行く船を教えてはいけないオアシスを想像することが大切なのだと 赤子はベビーベッドの窓から雨粒が弾いた…

水域

思いが水域を越えたとき溢れたしずくが言葉になる発した言葉は気化していくが人はそこに湿度を感じる湿度はやがて風に消えていくが空はそのことを憶えてる搾りたての答えを挽きたての勇気で運んでくれるんだ届け 届け願いには純度がある願いには新鮮さがある…

月のしずく

ブラインドの隙間から星が覗いている 群青色の空書き終えてない日記をゆっくりと閉じていく地平線 景色を飲み込んでいた霧が朝と入れ替わっていく 濡れている道ばたは月が落とした雫のようで描けなかった自分に気付いてほしい 人は眠りの浅いときに夢を見る…

僕であるために

宇宙のどこかに輝く真(まこと)遠くの夢に重なる景色 僕らが出会ったことは必然らしい因果応報とエネルギーの法則はきっと同じ場所で生まれている 愛は透明の光雲間から注ぐ金色の糸 ゆっくりと ゆっくりと結ばれて解けていく人たちと燃えて消える星たちは…

雨の運動会

'雨の運動会' 雨ふりの中をオレンジ色の体操着がワンボックスカーから降りてくる あわてて傘をたたんで「おはよう」を交わす ひとつの場所にいる複数ハウリングしていた室内がいつのまにか「みんな」へと成長していく 親の目に浮かぶものが光る子どもの成長…

グッドモーニング

'グッドモーニング' 季節がカーディガンを羽織った 布団からはみ出た爪先が平泳ぎで毛布を探しているとレム睡眠を鮮やかに引き上げる太陽が時計に腰かけながら顔をあらわす 都合よくツイートしているキャスター横目に教育番組にチャンネルするとローストされ…

愛の色

愛の色 子どもを高く持ち上げて未来行きのカートに乗せていく 幸せの場所へ連れていきたいと父親のシューズは泥にまみれて母親は安いブラウスに袖を通している 子どもの一瞬は大人の何十年もの意味をもつその意味にどこまで向き合えるだろうか 母親の愛はと…

とかさ

とかさ 今日は暑いとか涼しいとかさゲリラ豪雨の予想がどうとかさ今日は何時に帰ってくるとかさ晩ご飯のメニューがどうとかさ長男は今日も虫捕りだとかさ次男は最近よく話すとかさ三男の髪がふさふさだとかさ 消えるように進んでく毎日を追われながら未来に…

僕のすべて

僕のすべて これまでの苦しみが ひとつの解放に弾けた どれだけの過ちも ひとつの功績が救えるように テープをきったランナーは いつも光のベールを纏っている 限りない海を見渡す心で 果てしない空を見上げている 飲み終えた水筒から鳴った氷の儚さ うまく…

僕たちは試されている

いまがいつなのか ここがどこなのか 誰も知らない 知る術はない 絵本のはじめ 無表情の暖色ページを 息を飲みこみ見つめている 疾走の前に必要な距離がある プロローグは必ずついてくる いまはいつか あの頃になり 未来はいつか いまになる 夢なら幻想になっ…

美しいものを美しいと

他者を攻めることで自己を確認したい人がいる きっとそういったひとつひとつに気付かずに 大人になってしまったのだ 美しいものを美しいと思う 朝日を浴びて 夕陽に想い 夜を閉じる 人はだれでも許せない昨日を憶えている 心の中にセーブされてると思い込ん…

コントロール

紙芝居のクライマックスで 成敗される鬼たち 振り回している金棒は 弱さのサイズを表している 群衆が買い求めるのは 品種改良で頬を染めた果実 噛みしめて飲み込むあいだ 種が無いことに気付くことはない もうブラウン管はすっかり改造されていて モノクロ画…

僕のポケット

大切なものを半ズボンに込めて ポケットを気にしていたあの頃 なにを大切にしていたのか 割り切れる算数が好きだった いまは難しい問いかけの前で 動けなくなってしまった 僕はいま何年生なんだろう? いつも半袖でいたかった 靴飛ばしで空を測って 夢を描い…

渦巻の銀河

星は永久に配列されていて 宇宙の螺旋階段を上がっていきます たとえばそれは深海を泳ぐ 魚の群れたちを想像してみましょう 形状が繰り返すうちに 安定した姿を保てなくなり 巻き込みのジレンマが起こります かかったストレスを元の形状に戻すべく 渦を創り…

ライフ イズ ビューティフル

視力を失えば 聞こえるようになる 歩くなら 景色がよく見えて 静けさは 呼吸を感じさせる "ライフイズ ビューティフル" そこはコウモリがお似合いの12階の建物 廃墟ではない 子どもの時に肝試しをしたこともある 昭和の遺産のような集合住宅は いろはにほへ…

アドラーに学ぶ

夢は醒める前に楽しまなくてはならないそこに帰ることはできない 覚めた時は眩しいが光から逃げてはならない 僕は 僕の夜を守って僕は 僕の朝を迎えるんだ 想像に支配されてはならない道より先にハンドルをきれない 万物に優劣はない座標がみな違うのだ 科学…

サイレント映画の中で

人との関係は相対的だ 鏡の前で支度をしたら 心は誰かに映しだせ ここでの僕は 昼間は私になって 日が暮れて俺になる いろんな人に好かれたいと思うが 許せないやつを思い出してる 伝えたいことが伝わらない 聞きたい声が届かない 言葉は直感を鈍らせる 視力…

物語の真ん中で

互い違いのシューズで走る子は 気にならないほど楽しいらしい ヒーローになりきって 歩道の上から空を飛ぶ 絵本は心を解き放ち 同じところを何度も開く 気付くと 太陽が月に変わっていた毎日 昼には夜が必要なように 正義には過ちが必要だ 白夜であってはな…

Roots

Roots 通りすがりのやさしい風が髪を撫でて抜けていった 僕は少しだけ心地よくて誰かのための自分になれた バトンをふたつに分け合って次の人へ渡していく ペイ・フォワードの少年に近づいた気がしている 優しさはやがて膨らんで気球になって運んでくれる 遠…

昨日は 窓際の席で 校庭の中に見付けたよ 今日は 廊下で近づいて 会話のボリューム上げたんだ 放課後の靴箱で 明日もやっぱりすれ違いたい シューズの不在を横目で見たら 校門飛び出し追いかけた あの頃 毎日会えないと 恋のカロリー上がっていった あの夏 …

つまづきに肯けるその時まで

君へ 太陽は東から上がることを いまだにやめない 立ち上がる時はいつだって つまづいた後だ 僕はね 桟橋の見える景色の上に 数十年に1度の天体を待ったことがある きっとね 生まれ変わる前の世でも 僕は黒い月を見てみたくて やっぱり同じ景色にいたんだと…

愛のレシピ

洗いざらしの心なら 乾きたてのように吸い込み もぎたてのヒントで 搾りたての答えを見せる おぼえたてのやさしさ読んで 入れっぱなしの感情を洗う 最後に挽きたての勇気でかき混ぜれば ほかほかの愛が生まれる

国籍

あの人は挨拶を大切にしてあの人は人と距離をとりあの人は休日に力を入れてあの人は言葉に操られている 人と人との間で動くボールはリズムが狂うと心に響く響き続けて疲れてしまう 僕とあいつは国籍が異なる性格や態度で捉えないでいいのだ 国と国とですべて…